いのうえ小児科
アレルギー科クリニック
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エトワール1F
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アトピ−性皮膚炎と聞くなり、難治性というイメ−ジを抱かれますが、適切な治療を行えば、中等症以下の患者は2〜3才までに100%、全患者中でも70〜80%は完治します。
最初から全身ジュクジュクの湿疹を認める重症なタイプあるいは、食物抗原及び吸入抗原など多種類に渡って抗原(アレルゲン)を有する患者は、難治性に陥る確率は高くなり、長期戦覚悟となります。
 
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アトピ−性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりを繰り返すかゆみを伴う湿疹であり、簡単には改善しないものです。少なくとも、乳児期では2カ月以上、幼児期では6カ月以上持続する湿疹が存在した時点で、アトピ−性皮膚炎と診断されます。乳児湿疹、脂漏性湿疹、あせも、とびひ等の湿疹は、一時だけの湿疹で、アトピ−性皮膚炎と容易に区別可能です。
発症時期として、早ければ生後2カ月頃より発症し、発症年齢が1歳以降になると、難治性になる確率は高くなっていきます。また、患者さんの多くは、アトピ−素因を持っており、アトピ−性皮膚炎のみならず、他に気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎等合併している場合が多いです。子供のアトピ−素因は両親から受け継がれる遺伝子によって決まります。特に、母親がアレルギ−疾患を持っておられる場合に、子供にアトピ−素因が受け継がれる確率は高くなります。また、両親がアレルギ−疾患を持っていなくても、約15〜20%の割合で子供がアレルギ−疾患を発症すると言われております。IgE抗体(アレルギ−反応を引き起こす抗体)を産生しやすいのもアトピ−素因の1つです。
 
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アトピ−性皮膚炎の発症因子として、遺伝的素因が最も重要であり、他に食物抗原(卵,牛乳など)、吸入抗原(ダニなど)、環境因子(温度、湿度、大気汚染など)、心理的要因等が因子としてあげられ、それらが複雑にからみ合って、発症にいたると考えられています。
しかし、詳細な発症機序に関しては、わかっていないのが現状であります。
 
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小児科では、主に血液検査によるアレルギ−検査を行い、抗原(アレルゲン)の有無をチェックします。その主な検査がIgE抗体の検査で、非特異的 IgE(RIST、ルミワ−ド)及び特異的 IgE(RIST、ルミワ−ド)を調べ、値の上昇の程度が参考になります。また、白血球中の好酸球数の上昇もアレルギ−素因の参考になります。
 
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アトピ−性皮膚炎の治療は、大きく3つに分かれます。第1は、保湿剤等によるスキンケア、第2は、抗原除去療法で、第3は薬物療法です。保湿剤にはいろいろな種類があるので、自分に適した保湿剤を選択することが重要です。抗原除去療法は、さらに食物抗原除去、吸入抗原除去に細分化されます。乳児期では、主に食物抗原除去を行います。離乳食開始頃(5カ月頃)、食物抗原の有無をチェックし、陽性となった食物は、以後最低5〜6カ月は除去を継続します。また、母乳栄養の場合は、母乳を介して赤ちゃんに抗原が移行するため、母親も該当する抗原を除去したほうが賢明と思われます。要は、抗原を赤ちゃんの体に入れないことが、症状改善の近道と考えます。幼児期では、主に吸入抗原除去、特にダニ対策が重要です。ただ、ダニ対策を積極的に施行しても、完全に除去することは不可能で、それが故に、幼児期発症のアトピ−性皮膚炎は、難治性になる確率が高くなります。薬物療法は、外用剤が中心となります。とりわけ、骨格となるのが消炎剤で、その中でもステロイド外用剤が重要な位置を占めます。ステロイド外用剤塗布のポイントは、症状が改善したからといってすぐに塗布を中止せず、徐々に効果の弱いステロイド外用剤へ、時間をかけて徐々にステップダウンしていく事です。決して、改善したからといって、塗布を中止しないで下さい(必ず反動があるため!)その後、ステロイド外用剤から離脱し、非ステロイド系消炎剤へシフトすることが、当面の目標で、そこまで到達出来れば、自ずとゴールは見えてきます。また、症状の程度、部位に応じて外用剤を適切に使い分ける事が大切です。さらに、消炎剤単独では、皮膚のコントロ−ルが不十分で、保湿剤及び抗ヒスタミン剤(かゆみを抑制)を併用することも重要です。内服に関しては、中等症以上の患者さんに対して、抗アレルギ−剤や抗ヒスタミン剤等を補助的に使用する場合が多いです。
 
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小児アトピー性皮膚炎の新しい治療薬として、平成15年12月12日に0.03%プロトピック軟膏が発売となりました。この外用剤は、2歳以上の小児に適用のある薬で、現在、アトピ−性皮膚炎の治療の骨格として使用されているステロイド外用剤と共に、中等度以下のアトピ−性皮膚炎に対して、よく使用されています。平成11年6月に、成人アトピー性皮膚炎用として、0.1%プロトピック軟膏が発売され、ストロングクラスのステロイド外用剤に匹敵する程の効果があると,評価されています。しかも、プロトピック軟膏は、ステロイド外用剤と異なり、皮疹が改善していくにつれて、吸収量が減少していくので、ステロイド外用剤に比較して副作用が少ない特徴があります。外用休止後のリバウンドも、ステロイド外用剤に比較して軽いと言われています。ただ、欠点もあり、塗布開始後2〜3日は、局所の灼熱感、ほてり感、ヒリヒリ感を認めます。ただ、皮疹が改善するにつれて、局所の副作用も軽減していきます。また、塗布していると、局所の感染、例えば、ヘルペス感染、とびひ等がやや出現しやすくなり、その場合には、プロトピック軟膏の塗布を中止しなければなりません。しかし、その様な頻度は少ないと思われます。もう一つ注意点としては、亀裂やジュクジュクしている部位に塗布すると、吸収量が多くなるので、塗布を避けることが必要で、その時には、まずステロイド外用剤で、皮疹をある程度軽減させ、その後、プロトピック軟膏に変更して、維持していく方法が標準的と言われています。実際、プロトピック軟膏は、成人・小児共、顔面、頚部のアトピ−性皮膚炎には、非常に有効であります。また、体幹部の皮疹に対しても、顔面、頚部ほど著効を示さないまでも、時間はかかるが、ある程度有効性を認め、完治し中止出来るケ−スも増えてきております。基本的には、急性増悪時には、ステロイド外用剤(ストロングクラス)を、軽減時・維持にはプロトピック軟膏を塗布する方法が好ましいと思われます。
 
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常日頃から、アトピ−性皮膚炎症状悪化の予防対策も必要です。ダニ及びカビ対策としての清掃及び換気保持、ダニ対策としての布団干し、及びじゅうたん、カ−ペット、ソファの回避等は、重要な事です。また、日常生活上の注意点として、毎日の入浴、長時間の紫外線の回避、症状増悪時の砂遊び・プ−ルの回避、爪をまめに切る事、夏場の汗は早くシャワーで流す事、冬場は保湿剤塗布でスキンケアする事等があげられます。
 
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アトピ−性皮膚炎は、短期間に症状が改善する場合は少なく、たいていは何ヶ月以上にも渡る長期戦になりますが、適確な治療をすることにより、2〜3才までに7〜8割は完治します。治療の骨格はステロイド外用剤ですが、適切な使用によって、副作用の出現を防ぐことは可能です。何かお聞きになりたい事、御心配な点がある方は、アレルギ−外来を受診して、御相談下さい。
 
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