いのうえ小児科
アレルギー科クリニック
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免疫療法とは、抗原を体内に受動的に投与し、アレルギーの反応をブロックする抗体を誘導することにより、アレルギー反応を抑制する療法で、アレルギー疾患に対して、唯一の根治療法と考えられています。現在のところ、よく使用される免疫療法には、皮下・舌下・経口があり、アレルギー性鼻炎に対して、2014年より保険適応となった舌下免疫療法が、close upされる様になってきています。
   
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舌下免疫療法は、初めて2014年にスギ花粉に対して、12才以上で保険適応となり、2016年にはダニに対して、12才以上で認可され、2018年から、両者共5才以上に適応年齢が拡大されています。
 
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使用される薬剤として、スギ花粉はシダキュア、ダニアレルギーは、ミティキュア及びアシテアを、1日1回舌下投与します。治療期間は標準3〜5年で、最低3年継続が必要です。即効性はなく、効果が認められるまでに、半年以上はかかると言われています。効果判定は約2年で、2年経過しても、症状が持続する場合は、「無効」と判断します。

 
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舌下免疫療法の有効率は、「著明に有効」40%、「ある程度有効」40%で、計80%は有効と考えられており、治験例では有効持続期間は約7〜8年で、唯一の根治療法なので、それ以上有効期間が延長する可能性もあります。
 
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舌下免疫療法は、皮下免疫療法と比較して、薬剤の副作用の頻度も低く、程度も軽症の場合が多いです。アナフィラキシーの頻度は、約1万回に1回、アナフィラキシーショックにいたっては、約100万回に1回と言われており、比較的安全な治療法です。最も多い副作用は、舌及び咽頭の掻痒感・不快感・腫脹感で、口唇腫脹あるいは、耳掻痒感も出現する例もあります。仮に全身副作用の出現、例えば全身蕁麻疹、喘鳴を伴う咳、嘔吐を伴う腹痛、意識レベルの低下等を認められる場合は、治療中止となります。
 
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局所(軽症)の副作用の頻度は、シダキュアで30〜40%、ミティキュア及びアシテアで60〜70%と比較的多く、投与開始1カ月以内に認められ、1カ月経過すると、頻度・程度は軽減してきます。従って、副作用の頻度・程度を軽減するため、抗ヒスタミン剤を舌下投与開始1週間前から、投与開始後1ヶ月まで、内服継続してもらう方法を行います。
 
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ダニ感作アレルギー性鼻炎及びスギ花粉症の両疾患を有する方には、Dual舌下免疫療法と言うやり方を実施するケースがあります。この場合には、第1に副作用頻度の少ないシダキュアより開始し、副作用もなく、ある程度落ち着いた状態になった後、ミティキュアを追加併用する方法をとります。併用するまでの期間は、個人差もあり、大体シダキュア開始1〜6カ月後と言われております。
 
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舌下免疫療法の不適応は、重症気管支喘息、自己免疫疾患、悪性腫瘍etc.でステロイド内服継続中及び免疫不全症の方です。
 
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また、ダニ舌下免疫療法は、現時点では、アレルギー性鼻炎のみ適応ではありますが、海外では、気管支喘息にも有効であると報告されています。アレルギー性鼻炎を有する方の30〜40%は気管支喘息も合併していると言われており、そういうケースも実施する価値はあると考えられます。
 
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舌下免疫療法を考えておられる方(小児・成人問わず)は、一般外来を受診して、御相談下さい。実施方法を指導のうえ、定期的に外来followさせていただきます。
 
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