|
|
|
食物アレルギーとは、ある特定の食物を摂取することにより、生体に不利益を誘発する現象であります。タイプとして、新生児・乳児消化管アレルギー(IgE非依存性)、乳幼児アトピー性皮膚炎に伴う食物アレルギー、即時型症状のみ認められる純粋な食物アレルギー、食物依存性運動誘発アナフィラキシー、口腔アレルギー症候群等に区別されます。今回、主に即時型症状のみ認められる純粋な食物アレルギーをpickupします。 |
|
|
|
食物アレルギーを引き起こす食物の頻度は、年齢によって異なります。乳児期は、鶏卵が一番多く、牛乳(乳製品)、小麦の順で、幼児期は、乳児期同様鶏卵が一番多く、ピーナッツ、そばの頻度が増加、学童期・思春期には、甲殻類の頻度が増加してきます。また、食物アレルギーとして、ナッツ系が増加しているのが、話題になっています。 |
|
|
|
食物アレルギーを診断するための検査は、血液検査として、抗原特異的IgE抗体(FEIA法、コンポーネントも含む)があり、皮膚テストとして、プリックテストがあります。これらの結果は、あくまでも参考所見であり、疑陽性も存在するので、陽性所見が認められれば、確定診断するうえで、最終的に食物経口負荷テスト(OFC)が必要になります。 |
|
|
|
上記の食物経口負荷テストを施行するうえで、該当する食物未摂取の場合、アナフィラキシーが生じるリスクがあります。未摂取の場合は、とりあえず完全除去(2次食品も含む)からスタートし、ある程度の年齢及び抗原特異的IgE抗体値がある一定のレベルに下がるまで除去を継続し、その基準に達した時点で、含有量の少ない2次食品より摂取した方が無難と考えられます。少量摂取可能であれば、症状の有無を観察しながら、徐々に含有量をupし、最終的には、鶏卵の場合、卵それ自体(出来れば1個分)摂取可能になれば、制限を解除します。なお当クリニックでは、乳幼児(主に幼児)で摂取をtry出来る基準に達した場合、食物経口負荷テストを実施します。小学生以上で、摂取try不可の場合は、病院を紹介し、入院管理のもとで、食物経口負荷テストを施行していただきます。しかし、最近の考え方として、乳児期早期より(5〜6カ月頃)、食物抗原(主に卵食品等)を積極的に摂取する方向になりつつあります。 |
|
|
|
通常は、年齢がある一定以上になれば、食物過敏反応に対して、自然に耐性が誘導されていく場合が多いです。しかし、一部にはなかなか耐性が誘導されず、食物アレルギーが持続する場合があり、そういうケースには、入院のうえ経口免疫療法(OIT)を試行します。施行後、IgEを介するアレルギー反応をブロックする抗体(IgG4、sIgA、etc.)を誘導し、アレルギー反応を抑制することにより、食物摂取量を徐々に増やしていきます。最終ゴールは、食物制限なしに摂取可能になり、運動によっても、アレルギー反応が生じない状態になることです。 |
|
|
|
食物摂取・誤食あるいは食物経口負荷テストにより、アナフィラキシー(2臓器以上のアレルギー反応)が起きた場合、第1選択の治療は、アドレナリン筋注(エピペン等)であり、可能ならばルートを確保し、抗ヒスタミン剤、ステロイド剤の点滴静注を施行します。必要であれば、酸素投与する場合もあります。アナフィラキシーを認めた時は、当分の間該当する食物は完全除去継続となります。 |
|
|
|
食物アレルギーを有する場合、たいていのワクチンは接種可能ですが、鶏卵アレルギーのケースは、クリニックレベルでは、インフルエンザワクチンは控える様になっています。ただ、インフルエンザワクチンに含有する鶏卵成分の濃度は、非常に少なく(ng程度)、大病院では、卵アレルギーの子供にも接種する傾向になってきています。 |
|
|
|
現在、食物アレルギーに対しての基本方針は、最低必要限の除去となっております。ただ、即時型アレルギー反応の受け止め方は、子供によって様々であり、短期間で食物制限を解除出来る場合がある一方、制限を解除するまで、長期間かかるケースもあります。食物アレルギーでお悩みの方(小児、成人問わず)は、一度外来受診され、御相談下さい。 |
|
|